「小羊うるちゃん物語Ⅲ」part 1-2 落ち穂礼拝の始まり

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  【前回の登場人物】
    うるちゃん    : 主人公
    へいわくん    : 夫
    マーサさん      : B教会で知り合い友人になったクリスチャン
    A牧師        : A教会の牧師
    Dチャプレン     : A牧師の友人である米軍基地のチャプレン
    B1牧師       : B教会の主任牧師の長男である牧師
    C牧師(夫人)   : C教会の牧師(夫人)

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  ある日、C牧師は、ローマ人の物語(塩野七生著、キリスト教徒ではない)という小説を読まれ、それに大変感銘を受け、教会組織をローマ軍の軍隊のようにすれば良いということを、この本によって開かれたと言われました。大きな教会はみなそうなのだとも言われました。うるちゃんにとっては、上下関係の権威主義としてとらえる組織に教会の堕落があると思っているので、全く相入れない教えでした。

 そして、木曜の集会で、マーサさんが休み、うるちゃんひとりが出席した時、C牧師は黙示録20章から説教をなされたのでした。その時、無千年王国を説かれ、今が千年王国だと言われたのですが、この時、危ない教えだとうるちゃんは実感し出しました。「彼は、悪魔でありサタンである竜、あの古い蛇を捕え、これを千年の間縛って、底知れぬ所に投げ込んで、そこを閉じ、その上に封印して、千年の終わるまでは、それが諸国の民を惑わすことのないようにした。サタンは、そのあとでしばらくの間、解き放されなければならない。」(黙示録 20:2,3)この千年王国が今で、サタンはクリスチャンにはあまり働いていないと言われたのでした。聖書をどのように読んだらそうなるのか、話をしてみても平行線でした。罪への理解はどうなっているのだろうとも思えました。

 A教会を出るきっかけとなったエホバの証人の方々と話をした時と似ていました。C牧師は私やマーサさんの意見には取り合わず、一方的に教えようとなさるのでした。後で聞いたのですが、その木曜の朝、マーサさんは、箴言の26章25, 26節が示され、何のことだろうと思っていたそうです。「声を和らげて語りかけても、それを信じるな。その心には七つの忌みきらわれるものがあるから。憎しみは、うまくごまかし隠せても、その悪は集会の中に現われる。」(箴言 26:25, 26) 今ならばわかるのですが、C牧師は、反日教育で受けた日本人に対する言いようのない憎しみと、支配したいという思いを持っておられました。(後の言動による)

 こんなに教えが違っていても、「大丈夫だ。ひとりひとり考えが違うのはあたりまえです。何も問題ありません。私はあなたを愛しますよ。」といつも口にされるC牧師のことばをうるちゃんは信じようとしていました。(牧師という役職にある人たちを信じたいと思っていました)
 C牧師は口では「大丈夫だ」と言われるのでしたが、聖書には書かれていない自分が教えることを重要視していることや、うるちゃんたちが言った重要なことをあまり覚えていないことなどから、うるちゃんは不安になるのでした。

 C牧師との食い違う教えについてどう捉えたらよいのかということを、うるちゃんが主に祈ってみると、「あなたに助言する者が多すぎて、あなたは疲れている。」(イザヤ 47:13)
 「あなたがたのばあいは、キリストから受けた注ぎの油があなたがたのうちにとどまっています。それで、だれからも教えを受ける必要がありません。彼の油がすべてのことについてあなたがたを教えるように、・・その教えは真理であって偽りではありません。・・また、その油があなたがたに教えたとおりに、あなたがたはキリストのうちにとどまるのです。」(Ⅰヨハネ 2:27)
「だれでも神のみこころを行なおうと願うなら、その人には、この教えが神から出たものか、わたしが自分から語っているのかがわかります。」(ヨハネ7:17)というみことばが示されたのでした。

 それでも、うるちゃんは、教会への所属は必要だと思っていたことと、福音を伝える伝道自体はよいことなので、教えに目を留めずにやっていこうと思ったのでした。

 毎週のホームページの原稿にも、葛藤がありました。教えの違いにより、イエス様を曲げたくないと思って、少しばかり、うるちゃんは祈りながらの訂正をし、C牧師には事後承諾を受けながら乗り越えていました。その訂正したメッセージの会報は訪問伝道などで好評を得ていたことを後で知りました。以前よりよくなったとも言われていました。
 ある日、子供の日曜学校で、C牧師が、「私には、今、罪がない。うそも昔はついたが、今はつかない。」とメッセージされたのです。「罪人の意識と人の弱さ」は、どのようにとらえているのかと疑問でした。

 そこで、子供たちに、正しい教えの中にとどまってほしいと思い、うるちゃんは、今までしぶっていた日曜学校の教師も引き受けることにしたのでした。

 そうしているうちに、まず、教えによって、マーサさんの精神的疲れが、限度に達してきました。信仰をなくしそうになると言われ、C教会を去ることにされました。一貫性のない教えに、真理はどうでもよいものなのかという気持ちが出てくるのだと言われていました。教えは、何でもよいとするなら、私たちはB教会を出てから今まで、何のために信仰を貫いてきたのか、と思えて来て、心の状態も悪くなってくるというのでした。

 教会に疲れたマーサさんは、うるちゃんがへいわくんと一年間、続けていた家での礼拝に加わりました。この家での礼拝は、うるちゃんたち家族がB教会へ行けなくなった時、「家で礼拝を持ちなさい。恐れるな。わたしはあなたとともにいる。わたしはあなたを離れず、決して捨てない。」と語られて始めた礼拝で、へいわくんがC教会に来ようとしないので、続けていたものでした。初めの礼拝で、気落ちしているうるちゃんに旧約のある個所を読み合わせた時に(書きとめてなかったので、場所はわからなくなったのですが)、「今、わたしは、あなたがたの縄目を解き、自由に礼拝することを与えた。」と主に語られ、始めた礼拝でした。その時にへいわくんにも同じように語られていたので、継続していました。そして、エレミヤ書6章から、「ぶどうの残りを摘み取れ」とも…。この落ち穂の礼拝ごとに、賛美の中、聖書を読むときに、聖霊様が豊かに働かれ、イエス様がともにいてくださっていることを実感していたため、これまで、他の兄弟姉妹に、どのように言われても、続けることができていたのでした。

 この主を礼拝したい一心で始めた落ち穂礼拝が、この後もずっと続いていくとは、当時のうるちゃんは思ってもみませんでした。この時はただ、家族が安心して落ち着いて信仰を送れる教会が見つかるまで、という気持ちだったのです。

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  【うるちゃんと教会】
  ☆ うるちゃんが電話をかけた「昔からの流れのキリスト教会」(part 1-3)
  ☆ はづきさん所属のA教会(part 1-3)
  ☆ 歩いて1、2分のところにあった近所のH教会(part 2-1)
  ☆ へいわくんの実家近くのA教団のW教会(part 5-4)
  ☆ 行き場をなくしたうるちゃんが飛び込んだB教会(part 5-5)
  ☆ 世界一大きいと聞いていた韓国のY教会(part 5-番外編)
  ☆ 早天祈祷のため行ったJ教会(Ⅱpart 1-5)
  ☆ カウンセラーの聖会に行った日本基督教団H教会(Ⅱpart 1-6)
  ☆ 韓国人牧師が開拓していたC教会(Ⅱpart 1-6)
  ☆ Y教会関係のTカウンセリングスクール(Ⅲpart 1-1)

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